東京:日本の大手雇用主は今年の大幅な賃上げに続き、2024年に新たな賃上げを実施すると予想されており、これは家計支出の押し上げにつながり、中央銀行が大規模な金融刺激策を最終的に逆転させるために必要な条件を与えることになるだろう。
企業、労働組合、エコノミストらの初期の指摘は、過去30年以上で最大となる今年の賃上げの舞台となった労働力とコストの圧力が、来年春の重要な給与交渉に向けて続くことを示唆している。
例えば、大手飲料メーカーであるサントリーホールディングスの社長は、労働市場の緊張の中で人材を確保し、労働力の不足を補うために、2024年に従業員7,000人の平均月給7%の昇給を2年連続で提案する計画だ。インフレの上昇。
明治安田生命保険相互会社は来年4月から従業員約1万人の給与を平均7%引き上げる予定で、家電量販店のビックカメラも正社員4600人の給与を最大16%引き上げる予定だ。
岸田文雄首相の経済諮問会議のトップメンバーでもあるサントリーホールディングスの新浪剛史最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、「今起きているのはデフレからインフレへの大きなパラダイムシフトだ」と語った。
「状況が急速に変化していることを考えると、(賃金を上げるなど)迅速に行動する企業が競争力を持つべきだと思います。」
この発表は、岸田首相が生活費の上昇による家計の苦しみを補うために賃金を上げるよう企業に圧力をかけている中で行われた。
連続的な年次賃金引き上げは、日銀の上田和夫総裁にとって、過去10年間の極端な金融刺激策を解消するために必要な前提条件の1つ、つまり持続可能な賃金上昇も提供することになる。
労働問題の専門家で法政大学教授の山田久氏は、「慢性的な人手不足と頑固なインフレの組み合わせにより、来年の賃金交渉は今年と同じか、それ以上の賃金になるだろう」と述べた。
OECDのデータによると、慢性的なデフレと長期にわたる低成長の見通しにより、日本では平均賃金が約30年間ほとんど上昇していないことが企業の賃金引き上げを妨げている。
パンデミックとウクライナ戦争による供給制約により原材料価格が高騰し、企業はより高いコストを消費者に転嫁せざるを得なくなってから、この傾向は変わり始めた。
インフレ率が1年以上にわたり日銀が設定した2%の目標を上回っているため、企業は人材を維持し引き付けるために従業員に賃金の上昇を補償するという前例のないプレッシャーに直面している。
日本最大の労働総同盟である連合が今年「5%程度」の賃上げを要求した結果、大企業の平均賃金上昇率は3.58%となった。 連合は来年「5%以上」の賃上げを要求すると表明した。
サービス業やパートタイム労働者を代表する別の大手労働組合UAゼンセンは、来年は今年の要求に合わせて6%の賃上げを要求すると発表した。
ロイターの世論調査によると、エコノミスト10人中6人が2024年の大企業の賃金上昇率は今年よりも高くなるだろうと予想している。
中国経済研究院の首席エコノミスト、武田篤氏は「インフレ、労働市場の逼迫、企業利益の組み合わせが、賃金上昇の勢いを維持する追い風となるだろう」と述べた。 「サプライチェーンコストの上昇を転嫁できる企業も増えています。」
不均一なハイキング
日本の政策立案者にとって賃金引き上げは何十年も達成しにくい目標であったが、最近の生活費の圧迫により、その課題はさらに緊急になっている。
人気が急落する中、岸田氏は今年も力強い賃上げを実現し、1990年代後半から2000年代前半に日本が経験した経済停滞を回避すると誓った。
首相は先週、経済界に対し、2024年の賃金伸び率が今年を上回るよう呼び掛けた。
岸田氏は、大胆な賃上げを行った企業に対する補助金や税制上の優遇措置を提案し、税金を支払っていない赤字の中小企業にも後から減税の恩恵を与える方針だ。 首相はまた、大口顧客との交渉において中小企業により多くの交渉力を与えることも目指している。
さらに賃金が堅調に伸びれば、日銀が物議を醸している金融刺激策を終了するのにも役立つだろう。 市場では、中銀が賃金についてより明確になる4月ごろまでにマイナス金利を解除する可能性があると見込んでいる。
12月の日銀の四半期景気短観や、1月の日本最大の経済界団体と連合との間の賃金交渉は、さらに早期の手がかりを提供する可能性がある。
ただ、賃上げの対象が中小企業や地方の企業にも及ぶかどうかが鍵となる。
日銀の地域理事らが10月に発表した報告書は、賃金上昇率は依然として部門間で不均一であり、多くの企業が来年の昇給について未定であると警告した。
東京の北、埼玉県にある、従業員113人を抱える自動車部品工具の小規模メーカーである日東精密工業は、毎年約2%の賃金引き上げを行っているが、それ以上の賃金を支払うことはできないだろう。
工場長の近藤啓太氏は「高インフレに対処できるよう従業員の給与をさらに引き上げたいが、2%が限界だ」と語った。
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